更新日:
実は、気づかないうちにあなたは誰かを否定して、不快にさせているかもしれない。と言われると、少し不安にならない?「正しいことを伝えたい」「事実を指摘しているだけ」と、良かれと思って話したその「正論」が、多くの場合「否定」と捉えられる場合が多いらしい。「え?それって否定なの?事実を言ってるだけじゃん?」って思ったそこのあなた。ぜひこの本を読んでみることをオススメする。
前提として、コミュニケーションというのは、自分がどう思うか?ではなく、相手がどう思うか。という点が大事。冒頭の「事実を指摘しているだけ」っていうのは、相手にとっては否定されていると感じることが、しばしば存在する。自分もよく、奥さんから詰めらる時に「なんで機嫌悪くなるの?事実を言ってるだけじゃん」って言われるのでそのニュアンスはよくわかる。
というか、事実だから逆に辛いことってあるよね。事実という正論の槍も、使い方によっては否定であるということをこの本が教えてくれた。
自分もこのような、無意識の否定 を、そもそも認知できてなかったので、新しい発見が山盛りだった。本書では、コミュニケーションを円滑にするための、否定しないためのマインドや、コミュニケーションのコツが、盛り込まれているので、自分がためになった部分をいくつかピックアップしてみる。
否定が生まれる典型的な思考パターンは、大きく分けて3つ。
上記の3つを捨てよう。って本書では提案している。
でも、そもそも上記のようなパターンは、言ってる本人は、否定しているっていうマインドですらない。
それってめっちゃ悲しいよね。むしろ相手に頑張って欲しいからこそ、正論を言っているのに、結果的に相手を萎縮させて、やる気を削いでいることがほとんど 。ミスマッチにも程がある。
じゃあ、どうすればいいのか?本書が教えてくれるのは「否定しない」という行動を意識して、相手の話をちゃんと受け止めること。そのためのテクニックで自分の心に響いたものをいくつかピックアップ。
否定したくなったら、まず黙る 。そもそも、相手の話を遮るのも、一種の否定 。すぐに反応しないことで、相手の話を最後まで聞く余裕が生まれる。場合によっては何も言わないことが、最も適切な対応ですらある。これ、簡単そうで意外と難しい。「反応しない練習」という本では「心を前と後ろの二つに分けると良い」みたいなことが書いてあった。それを意識するのもまぁまぁ難しいので、今後とも修行が必要そうだ。とりあえず脊髄反射はやめて黙ろう。
もし脊髄反射的に否定してしまったって時は、ぺこぱ風のノリつっこまないボケでリカバリーするのがオススメ。
漫才コンビの「ぺこぱ」をご存知だろうか?ノリツッコミと見せかけて、さらにボケてくるスタイルの漫才が受けている。自分も大好きな漫才師だ。
「どこみて運転してんだよっ!って言えてる時点で無事でよかった。」 「そんなこともしらねぇ・・んだったら、俺が教えてあげよう。」
ツッコミで相手を否定しそうになりながら、最後ボケてくる(ノリつっこまないボケ)ことで柔らかく自分の意見を伝えるスタイル。 (声のトーンまで入れないと、伝わりづらいので、ぜひ気になる方は漫才の方も見てほしい。)
本書で紹介されていたパターン。
例:
「そんな提案は荒唐無稽だ!!……と思う時点で私が時代遅れかもしれない」
一度出した正論の槍を引っ込めつつ、最後は相手を否定せず、自分側に視点を収束させることで、相手の意見を尊重する方法。
もうちょっと自分なりに思いついたパターンを
「何度も言ったじゃん!!……ということは、私の伝え方が悪かったのかもしれない」
「そんなの無理だ!……と思ってしまうのは自分の視野が狭いだけかもしれない」
漫才だと思って例文を考えるの楽しい。ぺこぱを引き合いに出してきた著者のセンスに脱帽。 最終的に自分に収束させることで、相手への否定が自分に対してブーメランになって返ってくる点も、自分を客観視できて良いと思った。
いきなり厳しいことを言うと、相手は身構える前にくじけちゃう。だから、前置きで「ちょっと厳しいかもしれないけど、いい?」みたいに、聞く準備をしてもらう。
言われた方は「どんな厳しいこと言われるの?」と言う想像をして、だいたい、一番最悪なパターンを考えたりするが、多くの場合は「思ってたより大丈夫だった」と言うことの方が多い。また、「受け止める準備」ができているので、脊髄反射的に、相手に反感を抱くことも防げる。
自分も以前勤めていた会社の上司に「〇〇君のためを思って、言いたいことがあるんだけど、いいかな?」と言われたのを思い出した。
実際に厳しい言葉が飛んできたけど、事前に準備できていると、聞く方は「最大限の警戒をしたけど、思ったより大丈夫」みたいな感じになるので、これは効果あると思う。
「ちょっと厳しいかもしれないけど、いい?」
「〇〇君のためを思って、言いたいことがあるんだけど、いいかな?」
と言うような、相手のことを思いやる枕詞を置くことで、相手に受け入れる準備をしてもらうと、円滑なコミュニケーションができると思う。
「前置き」すれば、なんでも言っていいわけではなくて、言い方が大事だと思う。
「自分もこんなこと言いたくないんだけど」みたいな前置きは「言いたくないなら言うなよっ!」みたいに感じると思う。この枕詞は「話す方の一方的な感想」になっているのがよくない。
あくまでも、「相手のことを思っていう」っていうのが重要なポイントだと感じた。
上記のテクニック以外にも、本書の中で特に心に響いたのが、「認める」と「肯定する」の違いに関する説明。
映画監督が俳優に対して
1.「今の演技良かったね。もう一度、別の演技、行ってみよう!」
もしくは
2.「なんだその演技は!学芸会じゃないんだぞ、もう一回」
と声掛けする場合。2. は明らかな否定だけど、1. は相手を一度肯定してから、次の行動を促す指示 を出している。最終的な行動としては。「もう一度、演技をし直す」という結果にはなるが、1と、2どちらの言い方のほうが良いだろうか?場合にもよるかもしれないが、多くの場合、1で伝えてもらった方が、次も頑張ろうとなると思う。
1.の「今の演技良かったね。もう一度、別の演技、行ってみよう!」
これは相手を「認める」行為。
一方で「その演技で決まり!」というのが「肯定する」行為になる。
「今の演技良かったね。もう一度、別の演技を試してみよう」だと、「認めてはいるが、肯定はしていない状態 」みたいな状況を作れている。
このように「認める」と「肯定する」を分けて考えつつ、相手をまず認めることで、否定から入らない。というのは目からウロコだった。
過剰な期待をしないって話も、まさにこれで、頑張った相手はまず、認めてあげる。でも最終的に肯定は保留して、これからどうするか?っていう建設的なコミュニケーションをしようってのが、とても腹落ちできた。
正直、自分も 「事実だから」とか「正しいことを伝えなきゃ」って思って、否定的な話し方をしてしまうことがよくある。でも、この本を読んで、「正しいことを伝えるにしても言い方次第なんだよな」って気づかされた。
相手を認めることを前提に話したり、正しいことを言うのではなく、ぺこぱ風のコミュニケーションで、自分自身にも落ち度はないか、反省できるようなコミュニケーションを、自然に取れるようになりたいと思った。
というか、「多くの否定は悪意がない」と語られていたように、自分自身も否定だと思ってないことが、実は否定の一種だったことに気付かされたことが、1番の収穫だった。
「多くの否定は悪意がない」というのは、自分も頷ける。
逆に考えると、「否定された」と感じる側も、実は「相手も悪意があって、言っているわけではない」と言うことを意識するだけで、コミュニケーションはもっと円滑になるかもしれない。
コミュニケーションは、伝える相手と、受け取る相手の双方の考えで成り立つものなので、一方的に自分の感情で決めつけるのは、ミスコミュニケーションを起こすきっかけになってしまう。伝える側も、受け取る側も、相手の意図をお互いに汲み取ることが、一番大切なことだと思った。
そのためにも、まずは自分から伝えるときには
今後も、この3つを徹底していきたい。
『否定しない習慣』は、人間関係を良くしたい人には本当にオススメ。相手を否定せずに意見を伝える技術がぎっしり詰まってるし、ここでも語りきれなかった「無意識の否定」をなくすヒントが満載。
コミュニケーションに悩んでるなら、一度読んでみるといいと思う。特に「正しいことを伝えるのが親切」と思い込んで正論の槍を振りかざしている人ほど、刺さる内容だと思う。「そんな奴おるんか!?と思う自分がそうかもしれない(ぺこぱ風?)」自分もまさに張本人だったので、一緒に精進しよう。伸び代しかない。
二人の娘の父。サウナ、シーシャ、プログラミングを愛し、現代のシャーマン的存在を目指す。 新卒でベンチャーに入った後、起業に失敗し、現在はサラリーマンとしてマーケティングを行なっている。